BRAND CONCEPT

明るいのか暗いのかわからない空気と、そこにいる彼らの感情と装い。

内省的に捉える “思春期” のいでたちと精神性を原点としながら、テーラリングを基軸とする男性服とエレガンスを内包する女性服が、構造、身体あるいは感情といった様々なエッセンスを介して交錯する可能性の探求を続ける。
常にデザイナーの主観は現代社会の変遷と交流し、ことさら2023年秋冬を起点として、未成熟な少年と厳格な淑女が同居するアンビバレンスがブランドの中核をなすコンセプトである。

DESIGNER PROFILE

KEISUKEYOSHIDA
吉田圭佑は、1991年東京都北区生まれ。2013年、立教大学文学部卒業。在学中よりファッションスクール「ここのがっこう」でファッションを学び、ESMODE JAPONのA.M.Iを卒業後の2015年に自身のブランド「KEISUKEYOSHIDA」を設立しました。

デビューコレクションで吉田が描いたのは、デザイナー自身が思春期に抱いたファッションへの憧憬に根ざした等身大の“少年像”でした。2016SSからは継続的に東京ファッションウィークにおいてランウェイショーを行っています。表層的な少年の装いを切り取るのではなく、現代社会と自身の精神のアドホックな結びつきをファッションとして表現するため、2017SS以降はコレクションをすべてウィメンズウェアとその手法で構成するようになります。

ロンドンでのシューティング形式で発表した2019SS、過剰なディテールが施された洋服が扇情的な赤いライトに照らされた2019AW、妖しく不気味なシェイプで身体性を問い直した2020AWを通して醸成された陰鬱で重厚なムードはブランドの根幹となりました。

2019年からは縫製アトリエである「THE SEWING WORKS」と協業し、クラフトマンシップに裏打ちされた表現を確立しています。COVID-19によって世界が揺れ動き、ドラスティックな価値観の転換が起こった2020年には、吉田の出身地にほど近い荒川の土手で2021SSのランウェイショーを行い、改めて自らの原風景と対峙し初期衝動へと回帰しました。2021AWでは原点であるスクールボーイ・ルックの要素を現在の手つきで更新し、代表的な学生靴メーカーのHARUTAとコラボレーション。

2023AWはスタイリストのレオポルド・ドゥシェマンをクリエイティブチームに迎え、未成熟な少年と厳格な淑女が同居するようなアンビバレントな様相を描きました。徹底して内省的だった過去の作品群とは異なり、他者の眼差しの介入によってブランドの精神が再現前化されたモニュメンタルなコレクションです。2024SSはパリでルックブックの撮影を敢行し、2024FWは母校・立教大学でランウェイショーを行いました。 KEISUKEYOSHIDAのコレクションの一部は、2022年に国立新美術館で開催された「FASHION IN JAPAN 1945-2020」において、日本のファッションデザインの現在地を示す一例として展示されました。また2023年には、FASHION ASIA HONGKONGによる「10 Asian Designers To Watch」に選出されました。